問題解決/高田貴久 仕事をするなら身につけておきたい考え方
問題解決。以前読んだクリティカルシンキングの本とかなり内容が重複する。
仕事をする上では全てに通づる考え方だと思うので何かにつけてこの考え方は復習して自分のものにしていかないといけないなと思う。
この本の構成としては小ストーリーの後に細かい解説が書かれているもの。「マンガでわかる◯◯」によくある構成ですw
ザーッと読んで自分の中での復習に。分かり易いところだけ簡単にまとめてみます。
問題解決――あらゆる課題を突破する ビジネスパーソン必須の仕事術
- 作者: 高田貴久,岩澤智之
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2014/03/06
- メディア: 単行本
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問題解決の手順は一つだけ
問題にあたったときの4分類の回答がある
例えば「体調が良くないんだよね」と言われた時の返答
1.問題解決につながらない回答
「へー大変だね」など
2.HOW
「医者に行ったら?」「薬を飲んだら?」など対策をアドバイスする
3.WHY
「なんで体調が良くないの?」寝不足が原因なら病院や薬は解決策にならない。まずは原因を探る考え方
4.WHERE
「どこが悪いの?」などまずはどこに問題があるのかを最初に探す。頭が痛いなら寝不足かもしれないし、お腹が痛いなら食べ過ぎかもしれない。このように本来はどこに課題があるかを探すところから考えなけれないけない
HOW思考の落とし穴
これはよくある落とし穴だが問題に当たった時に、HOWから考えてしまう人は結構多い。例えば以下のような場合、
直径1mmのドリルが欲しい
上のようなオーダーがあった時にHOW思考では以下のように考える。
→HOW思考:この店には売っていません。
となってそのオーダーに答えられずに終わってしまう。
しかしこれはHOW思考に陥ったことで解決ができなかっただけで実際には解決できる課題だったかもしれない。
→課題解決:そもそもこの人は何でドリルが欲しいのか?ヒアリングすると「壁に重い額縁を固定したいがネジで固定したい」とのこと(WHERE・WHY)→であれば軽い額縁ならうちの店で売っていますよ(HOW)
このようにWHERE→WHY→HOWの順番に考えて最後にHOWを見つけるのが課題解決の考え方。
ここから上の順番で課題可決の考え方を見ていく。
1.問題を特定する(WHERE)
特定のための3つのポイント
- 問題の全体を正しくとらえる
- 問題を適切に絞り込む
- 論拠をつけて問題を特定する
1.問題の全体を正しくとらえる
MECE:もれなくだぶりなく
もれもだぶりも駄目だがまずはモレがない(全体を把握する)こと。
ある製品で納期の遅れが発生していた時に。
製品を作っている「工場」という範囲で最初は課題を見つけようとしていた。
→「待てよ?工場は製造している段階だけをやっている。その前段階の図面の提出状況には問題がないのか?」
「工場」だけではなく「技術部」も巻き込んで把握する必要がある
→さらに進めると営業がお客様との仕様の合意を取るのも遅いということがわかった。
「工場」+「技術部」+「営業部」の課題
→どのスコープで考えるかという検討範囲がずれてしまうと、正しい検討結果が望めない。
2.問題を適切に絞り込む
まずは全体を把握した。次にするのが「問題の切り口を考えること」
「顧客別」「製品カテゴリ」など色々な切り口を試して一番感度にいいものを見つけること。
上の例では「季節」の切り口ではどこに原因があるかわからないが、「時間帯」では明らかに朝に原因んがあることがわかる。
分解と深堀の違い
レストランチェーンの売り上げという問題だとすると、
分解は「P地域 Q地域 R地域」というようにMECEに探すこと(WHERE段階)
深堀は「味がまずい」「量が少ない」「冷めている」というように原因を探すこと(WHY段階)
2.原因を特定する(WHY)
「コインの裏返しをしない」
こちらもまずは注意点から。WHYを考える時に、WHEREが「朝の売り上げ」だと特定されると「では朝の売り上げを上げるために」といきなり考え始めてしまう。これがコインの裏返し。これではMECEな分析はできないし、WHERE段階で見つけた課題と同じレベルの問題を並列させていくことになってしまう可能性がある。
コインの裏返しをしないためには、まず「なぜなぜ分析」をする必要がある。WHERE段階では分解をしていたのに対して、WHY段階では深堀の段階に入る。
朝の売り上げ低下
→WHY:注文人数低下 × 注文単価低下
注文人数低下
→味がまずい × 量が少ない × 時間がかかる
のように次元の違うところへとどんどん掘り下げていく。
途中で「時間がかかる」というところで「注文までの時間」「提供までの時間」「食べる時間」なのかというように分解を挟んでWHEREを特定していくことも重要だが、基本的にはWHYではどんどん原因を掘り下げていく。
原因追究のポイントをいくつかピックアップ
最初に注意点んを挙げたが、ここからWHY段階のポイントをいくつかピックアップする。
「なぜ」を5回繰り返す
新人の受注が上がらないという課題に対して
×:「お客様を納得させられていないからだ」と考えて過去のジレイトークのロープレ→成果でない
○:「お客様を納得させられていないからだ」→「お客様の求めている物取りがう提案をしている」→「お客様の課題をちゃんと聞けていない」
上のNG例では表層的に課題を特定してHOWに飛びついているので解決できていない
WHEREから特定する
元の課題:カフェチェーンで、朝のフード類の売上が低下
という場合に。WHEREをせっかく分析していてもそこから外れてWHYを考えてしまうというのは良くあること。
NG1:「フード類」が抜けていると
→「コーヒの味をあげよう」みたいな方法に飛び着いてしまう。
本来の課題はフード類にあったのにそこをすっ飛ばしていきなりドリンクにWHEREを持ってきてしまっている。これでは原因のない場所に対策を打つことになってしまうので効果がない。
NG2:「低下」ではなく「低い」と書くと
→朝食メニューが高いという方法に飛びつく。
これは「低下」と「低い」のニュアンスの違いの問題。ここでは低下したことが問題なのに、低いこととWHEREを定義してしまうことで、朝食メニューの値段に原因を求めてしまう結果になった。朝食メニューの値段はずっと変わらないのであれば低下(変化)の原因ではないはず。
このように課題を深掘る際には正しい日本語も意識しないといけない。
ここまでWHERE・WHY・HOWについて見てきた。ここからは理想状態を達成するための課題の解決方法を考える。
あるべき姿を設定する(WHAT)
「課題」は2種類存在する
課題には発生型と設定型の2種類が存在する。
発生型:「誰がどう見ても課題だと感じる」
会議室でコーヒがこぼれている。誰もがそれを課題だと認識する。
・赤字が出ている
・顧客からクレームが発生している
・納期遅れが発生している
設定型:「見る人によってそれを課題と認識するかどうか違う」
会議室に椅子が4つしかない。人によってはそれを課題と捉える。きちんと説明しないと課題と捉えられない。
・営業利益率が5%しかない
・納期が10日間かかっている
人によっては営業利益率が5%もあると捉えられる。
あるべき姿の設定
設定型ではこれが課題だよねというのを言った時にそれを全員が課題と認識することは難しい。そのために<あるべき姿>を設定する必要がある。そのための3つの視点がある。
1.Will-Can-Mustで目的を設定する(視点を定める)
Will:大目的の視点:あるべき姿はこうである
Can:内部環境の視点:自分たちの強みは?何ができるのか?
Must:外部環境の視点:周囲に何を期待されており、何をなすべきか?
2.「目的」と「目標」
目的:どちらに向かうのか?(方向)
目標:いつまでにどの程度向かうのか?(程度)
目的がどの程度達成されているのかを図るために具体的に数値などを出す。
目標の設定の仕方(できるだけ後工程で判断する指標を設定する)
A:エンジニアがプロダクトを作ることを目標にする
B:エンジニアがプロダクトを作ってその結果のサービス登録者数を目標にする
それを図るための指標としてKGIを設定する「登録者数3月までに100人」「会員数12月までに1000人」「月間クリック数10000回」「月間アクティブユーザー数150人」などを目標を設定する。
目標が設定できれば現状とのギャップが課題
課題ということを誤認識することは多い
営業において「訪問数が少ない」
「顧客を訪問すること」:対策
「訪問することによってどのような〈あるべき姿〉が実現されるのか」「現状とはどのような差があるのか」というのが課題
これは日本語の課題という言葉の曖昧さによるもの。実際の課題は<あるべき姿>と<現在の姿>のギャップだということを常に意識しておくこと。
実行段階で。
PDCAでいうとここまではPの段階。Doの段階では「実行がなされているのかを確認するためにKPIを設定する話」や「意外と見落としがちなチェックの話」などがあるが今回のまとめでは割愛。
一つだけ印象的だったところ。
今までチェックというのが「どうやったら次に成功できるか」という失敗フェーズでのものだと思っていたが、なんで今回は成功したのかということを標準化して仕組み化することが必須。そして誰もができるものにする。そうしないと「たまたま」の成功に再現性を持たせられないし、できる人がいつまでもその仕事をし続けないといけなくなる。
自分の仕事を減らしていくために展開できる形にするという意識は今まで持っていなかった。
ネクストアクション&感想
- HOW思考の落とし穴にはまらない。まずは課題がどこにあるのかWHEREを見つける癖をつける
- 感覚値的にはHOWを見つけるのが難しいというイメージがあるが、実際には課題を特定してくWHERE・WHY段階の方が難しい。逆にここがしっかりとできていればHOWはそこまで難しくない。
- 自分はHOWに目をつけがちだと思っていたが、そこがかなり言語化された。特に設定型の課題において一人で走ってしまうことが多い。
- 成功を言語化して次に残す。自分の仕事を誰もができることにして、自分だけしかできない仕事を減らす。