『案本』 ユニークなアイデアを提案にするために。
こんにちは。
今日の一冊はこちら。マーケ出身のイケメンな先輩からオススメされた一冊。
曰く「どんな仕事をするにも知っておいて欲しい内容」
案本 「ユニーク」な「アイディア」の「提案」のための「脳内経験」
- 作者: 山本高史
- 出版社/メーカー: インプレス
- 発売日: 2008/03/28
- メディア: 単行本
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クリエイティブ・ディレクターであり、コピーライターでもある著者が提議しているのは「ユニークな提案をするためには経験が必要である」ということ。
ユニークさと経験で学習することの間には大きな乖離があるように感じますが実際には経験が非常に重要になるという論が展開されていきます。
「ユニークな提案」の違和感
ユニークな提案という言葉はよく言われるが非常に違和感のある言葉。
- ユニーク:ほかにないもの、理解されないもの
- 提案:相手の評価をもって受け入れてもらうもの
だから広告であってもユニークさよりもまずは相手のベネフィットをついているかということの方が重要
「なにを言うか」と、「どう言うか」。
広告の教科書の第一ページにはある言葉、コピーの掟とえるようなもの。
「なにを言うか」は受け手に対するベネフィットのことで、「どう言うか」がそれをどんな方法で伝えるかというところ。これは広告やコピーに限らずあらゆるコミュニケーションやアイデアの提案にも言えること。
ユニークなアイデアは「どう言うか」に気を取られて「なにを言うか」が無視されているケースが多い。
では、提案はどうやって受け入れられるのだろうか?
提案の受け入れられる流れは「認知→理解→評価」と言われている。
認知されなければ仕方ない。しかし理解されなかったことで提案が選ばれないということもある。この提案が自分にとってどんなベネフィットを提案しているのだろうということが瞬時に判断できなければ提案は評価の段階にもいかない。
「僕のアイデアはユニークなのになぜ採用されないのか」と嘆いても仕方がない。評価も理解も相手の中の尺度でなされるもの。受け手の尺度にそわない提案は意味をなさない。
では、受け手のベネフィットを知らなければならない。
受け手のベネフィットを想像できないのは知らないから。知らないことは想像もできない。
受け手のベネフィットを知るためには「経験」が必要になる。というのが流れ。
経験と思い出は違う
思い出:「フランスで食べたピザは美味しかった」
経験:「フランスでピザを食べた。おいしいけれども日本のものとはどこか違う。日本のピザはアレンジされてるのかな?やっぱり日本とフランスは違うな」
このように一つのものごとから「どう感じたか?何に違和感を持ったか?何に感動したか?それはなぜか?何を発見して、どんな感想を持ったか?」というところまでを含めて経験。頭の中で一つの事象から広げていく経験を脳内経験(著者命名)と呼ぶ。
このようにして自分の「経験データベース」を増やしていくことが重要
経験データベースから出てくる提案がこんな感じ
例:京都旅行の提案
課題:
「彼女との初めての1泊2日旅行で晩秋の京都に行きたい。二人とも修学旅行以来の京都」
1.提案:
できるだけ朝は早くに東京を発って、午前中には京都に入りたい。新幹線は取れているのか?のぞみが無理ならその前後のひかりでいい。昼飯は京都駅周辺の京料理のお弁当。寺院に行くならA寺が良い。町中からのアクセスも良く、大型バスが入れないので観光客も少ない。…(続く)
2.使った「経験データベース」と「想像力」。
晩秋は京都は観光客が多い。訪れるのには最悪の季節かもしれない。新幹線は混雑をさけてひかりでもいい。30分程度の差。ましてやカップルの旅行なので一緒にいる時間が長い方がいいかもしれない。
最初の料理に京料理を持ってくるのは3つの理由がある。彼女の「京都に来たら京料理でしょ」という気持ちを先に改称してあげることで後のタスクが減って荷が軽くなる。また夜だと2~3万円かかるものがエッセンスとはいえ数分の1で味わえる。しかも夜の懐石料理は品数も多くて時間を取られてしまう。1泊2日の旅ならその時間は惜しい。
京都の町は観光地が東西にわかれていて近辺の道路は混雑している。とはいえ修学旅行以来の京都で「京都に来たんだ」という実感を感じてもらうには繁華街からも近く、教科書にも載っているA寺がいいだろう…。
使った脳内アングル
「晩秋の京都の混雑」「混雑具合」「混雑したときの気持ち」「修学旅行とは?」「1泊2日」「初めての二人旅の時どういう心境になるか?」「女の目的は何か?」「二人が京都に関してい知っていること知らないこと」など。
他にもたくさんあるがそのそれぞれが自分の中に経験データベースとして存在していることで、相手のベネフィットにあった提案ができる。
以上まとめ
どんなアイデアでも、選ばれなければならない。
→選ばれなければ、もともとなかったも同じ。
→選ばれないのは、(世間を、人間を、自分を)知らないから。
→知らないのは、経験していないから。
→経験は、意識的に増やせる。
→つまり知ることは、意識的に増やせる。
→経験を意識的に増やして、「経験データベース」とすればいい。
実際の提案に至るまでに
脳内経験
自分の主観とは偏見である。他の人が見たら全く違う見方をする。
あるものを見たときに色々な角度からみてみる。
日記の脳内アングル
「関係者(モノを含む)」というアングル:「自分」「日記によく出てくる部下」「母親」「ペン」「日記をしまうひきだし」「日記のひも」
「中身」というアングル:「初めての」「1行だけ」「交換日記」「絵日記」「政治家の」「殺人犯の」
「時」のアングル:「元日」「大晦日」「現在」「未来」「10年後」「朝」「深夜」「一生」
「働きかけ」:「書く」「読む」「忘れる」「隠す」「笑う」「泣く」
「もしも~」:「もしも、子供のころからつけられていたら」「もしも、妻に読まれていたら」「もしも、やめたら」
「異論反論」:「めんどくさい」「三日坊主」「古臭い」「書くべきことがない」
こうやって洗い出すことで自分の主観的な日記観を修正して想像力が働く場所を探していく
日記を売る
ターゲットもきまっていないが何となく日記の脳内アングルを眺めてみる。
ベネフィットは2つ。
一つは他の人には言えないことを書くことができるということ。
もう一つは読み返すとき。あの時こんな気分になったなあと。
この2つは享受するタイミングが全然ちがう。一方は「書く」とき、もう一方は「読み返すとき」。その間には「三日坊主」などの言葉もあるようにめんどくささが伴う。
であれば今回のターゲットは日記の2つのベネフィットを感じているが、忙しさやめんどくささで継続することができなかった人。
であれば提案はこんなものでどうだろう?
「三日日記」。三日坊主は治らない。思い立ったタイミングで3日間書いていけばいい。
「日記箱」はどうだろう?鍵の着いた箱があって貯金箱のように思いついたタイミングで日記を放り込んでいく。「日記は毎日つけるものって思っていませんでしたか?」
こんな風に受け手のベネフィットから作っていくことがユニークな提案を生む。